2012/11/14

いいことがあると忘れる人

代表を務めるNGOスナーダイ・クマエ孤児院、創立から数えると今年で
14年、私が関わるようになって12年になります。

長く続けていると卒業生も出てきます。
今年も5回目の卒院式を行い、二人を社会に送り出しました。
二人は公立高校を卒業し、就職も決まっています。

孤児院の創立者は私ではなく、以前の夫であるメアス・トミー氏。
私はそのお手伝いのつもりで結婚後にカンボジアに来て活動に参加
しました。
恥ずかしながら、カンボジアの社会問題に対する情熱を持って
来たわけではありません。
パートナーがやっていることの一部を少しでも手伝えれば、そんな
気持ちだったのです。

いつしか情熱が逆転し、離婚が決まる頃には私にしか分からない
運営の内容、子どもたちへの教育方針などが多くなっていました。
彼もそのことはわかってくれていて、別れた後は私が孤児院の代表と
なるようにうながしてくれました。


細かいことは引き出しにしまっているのですが、いいことがあると
なんだか大変だったことを忘れるためにふとそこから引っ張りだして
しまうのかもしれません。

そういえばあれもこれもそのときは大変だったなあ、と。

でもいいことがあると、
「もしかして、この日が来る時のために大変なことがあったのか?」
と、思い出したりしてみて・・・。

でも不思議なことに、子どもたちが起こした問題について「大変だった」
と記憶されているものはないんですね。
それはすべて思い出になっているのかもしれません。

ふと思い出す大変だったこことは、家庭のことや人間関係の悩みばかり。
普段忘れているくせにふと頭をよぎると鮮明によみがえって、すごく
腹が立ったりして(笑

あほですね(笑


でもそれは一瞬の話。

だって、自分が12年間一緒に暮らしてきた子どもたちが立派に大きくなり、
学業も修めて社会に出て行く姿を見られるんですから。
しかも一人で見るわけではなく、孤児院のスタッフ、子どもたち、そして
日本から長期にわたって応援してくださる皆さんもいます。


それを思うと、以前自分を悩ませていた人たちのことは

「まあ、ええか」

と思います。

許すとか許さないとかではなく、関心がなくなってしまうという感じで。
つまり、「思い出にはなってない」んでしょうね(笑



だから「今まで一番大変だったことは何ですか?」という質問には具体例を
挙げて回答できないんですよね。
ぼわーーっとあるけど、なんだ?って感じで。

「なにか大変なことはあったんだと思う。でもいいことがあると忘れて
しまってるんです。おかげでやめることなく続けていけるんです。」


ほんま、自分が「いいことがあると忘れる人」でよかったと思います。

そしていいことをくれる、子どもたちや周囲の人々に感謝、なのです。

二人を社会に送り出して、しばし抜け殻の私はこの数日間こんなことを
考えていました。

2 件のコメント:

  1. もしや、大変なことが多すぎてぼわーーっとなってしまうのでは?(笑)
    でも、嫌なことは忘れてうれしい事を覚えていた方が幸せですよね・・・

    何を隠そう、私も結構何でも忘れてしまう方ですが・・・
    毎年子供たちを社会に送り出してる博子さん。
    ほんとにお疲れ様です!(^^)!

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    1. なびさん
      隠せてないですわ~(笑 お互いそんな性格(笑
      嫌なことがあったら、寝る!

      このごろ、私ってここ(スナーダイクマエ)でどんな役割を果たせてるんだろう
      ということばかり考えているんですよ。
      これからどういう関わり方ができるのか、立ち位置を間違いたくないなあって。

      そんなこんなで人生の大半をぼわーーーっと過ごしてますが、今年も二人を
      送り出せてほっとしてます。
      いつも応援ありがとうございます!

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